眠れぬ夜とチョコレート

コンコン―― 「……クラヴィス様。失礼いたします」 返事はない。けれど、それがいつものことだと知っているリュミエールは、静かに扉を開けた。 部屋の奥、月明かりに照らされたクラヴィスは、ソファに身を沈め、長い指先で読書灯の…

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04. キスがその答え

週末の午後。私邸はただ静かだった。 柔らかな陽光が窓から差し込み、カーテンがかすかに揺れている。本来なら、二人で過ごすには穏やかすぎるほどの時間だ。 ――にもかかわらず。 オスカーが視線を向けた先で、ジュリアスは大きな肘…

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03. 目を逸らした隙にキス

女王試験の定期審査を終えた夜、聖地では恒例となっている舞踏会が開かれていた。 今回は戴冠後初の大規模な催しとあって、招待客も多い。煌めくシャンデリアの下、音楽と香水の匂いが満ち、正装に身を包んだ守護聖たちは、自然と人々の…

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02. 言葉を封じるキス

「ああ、良かった。ご自宅におられたのですね」 土の曜日の昼下がり。陽光が磨かれた床に淡く反射し、白いカーテンの裾を風が揺らしていた。気持ちよく晴れた外出日和だったが、私邸で静寂を楽しんでいたジュリアスを訪ねてきたのは、視…

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