数日後の夜、光の守護聖の館。
ジュリアスの私室の扉をノックすると、静かな「入れ」が返ってきた。
大きなソファに体を預けてくつろいでいたジュリアス。
「……何の用だ。こんな夜更けに」
「少しだけ、お時間を」
返事を待たず扉を閉めて、素早く後ろ手に鍵をかける。
ジュリアスの眉がわずかに動いた。
(今日はもう、退路は作らない)
「お隣に座っても?」
「ああ……構わんが……」
明らかに警戒モードのジュリアス。
腰を下ろすなりその両腕を掴んで、ソファに押し倒した。
「焦らされるのは、もう終わりです」
驚きと呆れが混ざった視線が突き刺さる。
「……節度をわきまえろと、何度言えば」
「もう聞き飽きました」
「貴様というやつは……」
ジュリアスは腕を振り解こうとするが、肩を押さえて体重をかける。
静かな部屋に互いの呼吸だけが響く。
数秒の沈黙ののち、ジュリアスはふっと視線を逸らした。
「……一度だけだぞ」
軽く顎を取られ、唇が触れる。ほんの一瞬。
「……終わりだ。離せ」
頬の赤みを見せまいと横を向くジュリアスを、オスカーはじっと見つめ――にやりと笑った。
「……離せません」
「……こら、約束が違うぞ。いい加減にしろ」
「約束した覚えはありません」
やれやれという表情のジュリアスに、迷わず二度目のキスを落とす。
(……やばい。サイコーに可愛い)