気まぐれスーパーイリュージョン – act 27

イリュージョニスト、新たなる旅立ち

スターライトショア、最後の朝。

セイラン「ええ、そういうことで。よろしく」
せわしなく電話をかけるセイラン様。

セイラン「これで、終わったかな」
リニューアルを済ませたばかりの美術館を街へ寄付して、セイラン様ほっと安堵の笑顔です。

リビングへ降りると、フェイサル君が待ってました。

フェイサル「ご主人様、おはようっス」
セイラン「フェイサル、君には本当に助けてもらったし、短い間だったけど一緒に暮らせて楽しかった。礼を言わせてもらうよ」

フェイサル「イヤだなー、ご主人様水くさいっス!」
セイラン「ハハハ。手配はしてあるから、後は頼んだよ」
フェイサル「了解っス。このフェイサルにドーンとお任せくださいっス! ご主人様方、お元気で!」
セイラン「ああ、君もね!(大丈夫かな…)」

タクシーに乗り込み、フェイサル君の向かった先は…

フェイサル「教えられたアドレスはココっスね」

中に入ってみると見覚えのあるトロフィー

フェイサル「あれはご主人様方の優勝トロフィーっス」

ベッドルームへ入ってみると

フェイサル「あ、これはもしや」

夏祭りでみんなで撮った記念写真ですw

フェイサル「やっぱり、ご主人様方と撮った写真っス!!」

フェイサル「ご主人様方のご依頼、このフェイサルしかと承りましたっス!」

セイラン様がフェイサル君にしていたお願いごととは、セイラン様の夢実現のスタート地点となったこのあばら屋建物の管理人となって、パフォーマンスアートへの夢を抱いてこの街へやってくる若者たちの支援をしてほしいということでした。

フェイサル「ボクも一端の画家になれるよう頑張るっスよ~」

一方、残された三人は出発を前にしばしの歓談中

ランディ「オリヴィエ様は、戻られたら何されるんですかー? 俺はアウトドア三昧とかいいなーって」

オリヴィエ「うーん、私にしてはちょーっと働き過ぎちゃったからねェー。しばらくビーチでのんびりバケーションかな」

オリヴィエ「で、アンタはどうするんだい、セイラン」
セイラン「ええ、ツアーに出ようかと」
オリヴィエ「そりゃいい。アンタのイリュージョンはホンモノの伝説級だからね」
セイラン「そういっていただけて光栄ですよ」

オリヴィエ「じゃ、またしばらく会えないだろうけど元気で」
セイラン「オリヴィエ様も」

オリヴィエ「そうそう。陛下が―アンジェリークが、私とランディをアンタのところへ寄こしたのはね。アンタがお金や世間に疎いからってだけじゃない。陛下は、アンタが根っからの芸術家で、自分の興味をとことん追求するタイプだってよーく知ってたからさ」
セイラン「…それだけでは、人に夢を与えられるイリュージョニストにはなれない、と」
オリヴィエ「そういうこと☆アンタはもう、そのハードルを越えたんだ。もっともっと上を目指したらいいさ」
ランディ「セイランさん、俺たちの街にも来てくださいね!」

オリヴィエ「じゃランディ、そろそろ行くよ!」
ランディ「はい。セイランさん、じゃまた!」

車で走り去る二人を見送り…

セイラン「そろそろ僕も出発するか…あ、そうだ」
セイラン様、ご自分の部屋へ

セイラン「これを置いていくわけにはいかないな」
去年の秋、皆で撮った写真です。

セイラン「さあ、これですべて思い残すことはない」
ちょっと冷たい凛とした空気の中、眩しい秋の日差しがセイラン様の新たな旅立ちを祝福しているよう。

全てが謎に包まれたスーパーイリュージョニスト、「Seilan the Illusionist」の世界、いや宇宙を駆ける活躍がこれから始まります!

*** 気まぐれスーパーイリュージョン/Fin ***