※注意※ 単なる妄想と萌えの垂れ流しかつ長文です
先日、スマホアプリで「パタリロ!」全話が期間限定で無料公開!というニュースで、実は多くの名作コミックがオンラインで公開されていることを知りました。無料(あるいは無料コイン使用)で公開されているものは、20年~30年前の「古典」が中心ですが、おかげさまで、タイトルだけは知っていた作品や、最後までは読破していなかった作品など、思う存分楽しませていただいています。
このアプリで、今回、名作と名高い「八雲立つ」と「摩利と新吾」を全話通して初めて読みました。どちらも読みごたえのある骨太の超大河ドラマで、読み終わった後、数日間ぼーっとしていました。
この二つの作品はジャンルも描かれた年代も違いますが、共通点があります。どちらも主人公は二人の男性で、彼らの深い関係性が物語の根幹ともいえる大きなテーマとなっていることです。
「八雲立つ」のクールなイケメン高校生闇己は、特殊な家庭に生まれ育ち、他人に対して頑なに心を閉ざしていますが、たまたま?出会ったフツーの大学生七地にだけは絶対の信頼を置いていて、闇己に想いを寄せる数多の女性たちが嫉妬するほど二人の間には誰も入れる隙がなく、不思議な「ブロマンス」状態にあります。「摩利と新吾」の摩利と新吾は、父親同士も大親友で、幼馴染の本人たちも「お神酒徳利」と呼ばれ、家族以上の親密さ。どちらとも単なる「友情」の域を遥かに超えた関係です。
!! 古い作品ではありますが、以下多少のネタバレを含みますので注意 !!
闇己と七地、摩利と新吾の関係性で明らかに違うのは「BL要素」の有無です。闇己と七地は、古代に生きたそれぞれの先祖から繋がった魂の強い絆で結ばれていますが、本人たちには、なぜそうなのかよくわからないという、BL要素の一切ない関係。七地は惚れっぽく、普通の大学生男子らしく女性に興味津々ですが、闇己は恋愛どころか、七地以外の他人にはほとんど興味すら示しません。二人が否応なしに宿命的な状況に巻き込まれていくうちに、お互いの存在が欠け替えのないものになっていきます。
これに対して、大親友である新吾に恋愛感情を抱いてしまった摩利と、その気持ちを知って苦悩する新吾は、いわば「王道」のBL関係。欧州を拠点に事業を展開する高塔伯爵を父に、ドイツの貴族令嬢を母に持つハーフの摩利は、容姿端麗で女性と見紛うほどの美貌ですが、中身は見かけとは裏腹に大変男らしくて、文武両道のうえ婦女子には優しくスマートな貴公子。医者の家庭に生まれた新吾は、両親に愛されて真っ直ぐに育ち、「おひさま新吾」のあだ名を持つ明るい正義漢。二人はそれぞれの父が青春を過ごした母校、持堂院高等学校(旧制高校)でバンカラな学生時代を過ごします。
長年の自分に対する摩利の気持ちを知った新吾は、それに応えたいと思うものの、二人で共に赴いた欧州への留学中に外国人の女性と恋に落ちて、それが苦渋に満ちた結末となった後、「運命の相手は摩利だけれども、恋人にだけはなれない」という結論を出します。知ってたよ、とさらりとそれを受け入れる摩利。それだけで十分だと笑顔で答えながらも、心の中では、ずっと前から知っていたのに、気づかないふりをしていただけだと葛藤します。まあ、まとめてみるとありがち展開って感じではありますが、それまで二人が積み重ねてきた時間と、摩利の真面目で一途な想いをずっと見てきた読者にはつらい…。
余談ですが、欧州で父の事業を継いだ摩利を主人公にした番外編「欧州秘話」では、彼の男らしくて人間的な魅力がたっぷり描かれていて、こんな人が身近にいたら誰もが心惹かれちゃうだろうと思いました。美しくて頭脳明晰なだけでなく、この上なく男前ってチートすぎだわ。
前置きが長くなりました(ってここまで前置きなのかよ!)。ようやくここからアンジェ考。
ラブラブなオスジュリを至高とする私ですが、私の考えるオスジュリは、まずオリジナルのゲーム世界の時点で「闇己と七地の関係性」に近いのかなと、ふと思ったわけです。つまり、もう魂レベルの絆なので、今世で相手が異性だろうが同性だろうが、そもそも二人の関係性は全く揺るがないよね、みたいな。
別の作品ですが、80年代のNYCを舞台に大学生の日常を描いたコミック「アレクサンドライト」(これもアプリで読めますw)で、「魂には性別はない」というセリフが出てくるのですが、まさにそんな感じ。
ただ、体には性別があるというところが人間の厄介なところで。出会った「運命の相手」の性別にかかわらず、恋愛感情を持つことに躊躇ないこともあるだろうし、持てないこともあるだろうし、全く最初から恋愛感情なんか超越してることもあるのだろうなと。闇己と七地はお互いに最初から超越してるけれども、摩利と新吾はたまたま(今世では?)そこで行き違いが生じてしまったのかなー。
私の妄想オスジュリ世界だと、ナイトであるオスカー様にとって、ジュリ様は「ヒロイン」(記号的に)なんですよね。ジュリ様の高潔さに惹かれ、憧れ続けているオスカー様ですが、幼少から守護聖としての生き方以外に知らず、「自分の存在意義は、守護聖として課せられた責務の完遂のみである」という考えに囚われがちなジュリ様を、その束縛からメンタルにもフィジカルにも解き放ちたいと考えている。ジュリ様は、育った環境と状況からして「守護聖でない自分」に対する自己評価が低く、そのために他人との間に距離を置いているのだと思うのです。なので、ナイトとして絶対の信頼が置ける相手であり、同じ守護聖としての立場も苦悩も共有した同志でもあり、「守護聖でない自分」をありのまま受け止めてくれるオスカー様は、ジュリ様にとって安心して本来の自分を見せることができるただ一人の存在なわけです(と勝手に思っている)。オスカー様は、常にジュリ様にふさわしい自分であろうと自己研鑽に励み、そんなオスカー様に愛され続けるジュリ様はますます輝きを増して、そんなジュリ様にさらにオスカー様が惚れ直してみたいな、どこまでもポジティブスパイラルな二人(笑)。
一方、クラリュミの関係性はオスジュリのそれとは大分違う気がします。というのは、この二人は、もちろん運命として十分受け入れていて、その立場も責任もよく理解しているけれども、「守護聖である」ということには思い入れが高くない。むしろそうでなければ、愛する家族(母親)とも引き離されず、手に入れられた別の幸せがあったかもしれないという思いをそれぞれに抱え、共有しているという関係です。なので、もっと叙情的で、その想いを分かり合うというか、お互いがお互いの癒しになっているというか、二人を結び付けているのはそういう穏やかな感情のように思うのです。
クラ様にとっての「運命の相手」は、前女王だったかもしれませんが、必ずしもその同じ相手といつも結ばれるとは限りませんし、もしかしたら、そういう相手も一人とは限らないのかもしれません。自分の妄想ワールドのリュミ様は、そんな前女王とのいろいろもひっくるめたクラ様をまるごと愛していて、彼の傍らで少しでもその孤独を和らげ、また自分も安らぎを感じていられることが何よりの幸せと考えているのでしょうし、クラ様も、そういうリュミ様に心から救われていて、二人で共に穏やかな時を過ごせること以外には何も望んでいないのではと思います。
こうして改めて考えてみると、ジュリ様もクラ様も、人間的な欠点の多い愛すべきキャラだなあ。むしろ中堅組のほうが精神年齢高いかもしれない? 個人的には、神鳥のメンバーで精神年齢が最も高いのはオリヴィエ様だと思っております。